離婚事件の件数は年々増加しています。離婚が増えている理由は夫婦の価値観が多様化したことや経済的な理由などケースバイケースですが、共通している点は、離婚は結婚の何倍もエネルギーが必要であるということです。
離婚という辛く苦しい事態に対して、当事務所は依頼者の皆さまを支えて、長いトンネルの出口を一緒に探しだします。当事務所では常に複数の離婚案件を抱えており、多数の経験・実績が蓄積しております。まずはどんなことでもお気軽にご相談ください。
離婚事案の種類
協議離婚
夫婦が離婚届けに署名・押印し、証人2名からも署名押印をもらって役所に届けることで離婚が成立します。夫婦に子どもがいる場合には、親権者の定めの他、子の面会と養育費の分担についての合意の有無についても記入が必要になりました。
離婚届不受理申出
離婚の殆どは、この協議離婚の段階で成立します。日本では、形式の整った離婚届けを役所に提出すれば離婚が成立しますので、相手方に勝手に離婚届を提出される危険性があります。その様な場合には、離婚届不受理申出制度がありますので、申出をしておけば、勝手に離婚届を提出されても受理されないようになります。なお、離婚届不受理申出制度は、平成20年5月までは6カ月に一度更新をする必要がありましたが、現在は、一度提出すれば、更新は不要になりました。
離婚の取り決めに対する公正証書の活用
協議離婚をする場合、養育費、慰謝料、財産分与の取り決めは公正証書にしておくことを強くお勧めします。養育費や慰謝料等の金銭の支払に関する事項は、公正証書にしておけば、仮に、相手方が支払わない場合には裁判をすることなく、相手の財産を差し押さえることが可能になります。当事務所では、公正証書の文案作成から、日程調整まで行うことが可能です。協議離婚をする場合であっても、後日のトラブルを避けるためにご相談下さい。
調停離婚
親権、養育費、慰謝料等の条件が夫婦間の話し合いではまとまらず、協議離婚が出来ない場合には、調停離婚を選択することになります。相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、又は夫婦間で合意した家庭裁判所に離婚調停の申立てをすることにより手続が始まります。
離婚調停は、大体月に1回くらい2時間程度家庭裁判所で開かれます。開かられる場所は、法廷ではなく小さな会議室のような場所ですので緊張する必要はありません。2名の調停委員が夫婦から交互に事情を聞取ります。夫婦が互いに直接顔を合わせないように、待合室が別になっているほか、家庭裁判所に呼び出される時間も30分程度の時間差が設定されており、互いが直接顔を合わせないような配慮がされています。
離婚調停は、あくまでも話し合いですので、夫婦間で離婚の条件に合意に至らなかった場合には調停不成立となります。離婚するかしないか、又は親権争いが激しく対立している場合には不成立になる可能性が高いといえます。他方で離婚と親権は合意できていて、あとは金銭的な問題が残されているだけであれば、調停が成立する可能性が比較的高いといえます。
離婚裁判を起こすためには、調停を経ていなければなりません。これを調停前置主義と言います。したがって、夫婦間の対立が激しく、最終的には裁判での決着を視野に入れる場合であっても、離婚調停を起こさないといけないのです。
夫婦間で離婚の条件について合意した場合は調停成立となります。調停が成立した場合には、調停で決まった事項が調停調書という文書になります。調停で離婚が成立した場合には、調停成立の日から10日以内に調停調書の謄本を添付して市区町村長に離婚届を提出しなければなりません。調停調書で金銭の支払に関する条項を定めていた場合(慰謝料や養育費など)、相手方がその条項を守らなかった場合には、相手方の財産に対して強制執行をすることが可能となります。
離婚調停は弁護士をつけずに当事者同士で行うことも可能です。しかし、
- 相手方が弁護士を付けた場合
- 財産分与や慰謝料請求等の争点で複雑な法律問題を含んでいるとき
は弁護士に依頼をして、あなたの権利を守るべきケースです。
婚姻費用
離婚調停を起こす段階では、夫婦は別居をしているケースが多いのですが、別居をしていても離婚していない以上、法律上は夫婦ということになります。法律上の夫婦関係があれば、夫婦は互いに生活保持義務という義務を負うことになります。生活保持義務とは、自分と同程度の生活を相手方にも保持させる義務のことです。
離婚が成立するまで、収入が多い配偶者は他方の配偶者に対して、婚姻費用を支払義務があります。婚姻費用の額は、夫婦の収入・資産等の事情を考慮して決めることになります。夫婦間で金額が決まればよいですが、そうでなければ、離婚が成立するまでの間、婚姻費用の支払いを求める調停を起こして婚姻費用を確保します。
婚姻費用に関してよくある質問は、婚姻費用の金額を定める際、相手の方に離婚の責任があるから、こちらは払わなくて良いのではないか、ということです。理屈の上では、夫婦間の一切の事情を考慮するということになっておりますが、実際は、殆ど考慮されることがなく、夫婦の収入によって定まることが殆どです。
婚姻費用の調停が整わない場合には、審判という手続きに移行することになります。審判では、それまでの調停で提出されていた夫婦の収入に関する資料等をもとに、家庭裁判所が婚姻費用の額を決めます。家庭裁判所の審判に対して不服であれば、高等裁判所に対して即時抗告という不服申立の手続きがあります。
離婚訴訟
離婚調停が合意に至らず不成立に終わった場合には、離婚訴訟を提起することになります。離婚訴訟では、以下の離婚原因となる事実があるかどうかが審理されます。
- 配偶者に不貞な行為があるとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の身見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
離婚訴訟は、家庭裁判所で概ね毎月1回の頻度で開かれます。離婚原因となる事実があるか否かについて証拠を提出して明らかにしていきます。例えば、①の場合であれば、不貞相手とのメールや、写真等によって立証するケースが多いです。問題なのは、⑤の場合であり、この場合の証拠は、離婚したいと思う理由により異なってきますので、弁護士に相談して適切な証拠が集められるように準備していただくことが重要です。
親権者
離婚訴訟では、親権者も判断されることになります。判断の基準は「子の福祉」ですが、具体的には以下のような事情が考慮されます。
- 監護体制の優劣(経済状態、住居環境、家庭環境、教育環境等)
- 子に対する愛情
- 子の年齢、心身の状況
- 環境の継続性
夫婦の双方が親権を主張して対立が激しい場合には、家庭裁判所調査官という専門官が家庭訪問等の調査を行い親権者に関する意見を述べることがあります。
親権者と監護者を分ける場合もありますが、極めて例外的です。
また、兄弟で親権者を分けることも極めて例外的です。
財産分与
財産分与とは婚姻期間中に夫婦で形成した財産の清算です。別居時を基準として、財産をそれぞれ2分の1ずつ取得するイメージです。例えば、①~⑤の財産があった場合、
- 結婚後に購入した自宅
- 結婚後に積み立てた定期預金
- 結婚後に買った自動車
- 結婚前からもっていた預金
- 親から相続した不動産
結婚後に形成された①~③の財産は財産分与の対象になりますが、④、⑤は財産分与の対象とはなりません。
よく問題になるのは、①の自宅の場合でローンがまだ残っており、売却をしてもローンが残ってしまうときや、頭金の一部をどちらかの親から援助して貰っているときは、複雑な法律関係を生じますので、弁護士に相談するべきケースです。
年金分割
離婚当事者は、協議をして按分割合について合意した上で、社会保険事務所に厚生年金(婚姻期間中の保険料納付の合計のみが対象。基礎年金や企業年金は対象にならない。)の分割請求を行います。
協議ができない場合は、裁判によって按分割合(上限50パーセント)を定めます。
平成20年4月以降の第三号被保険者(専業主婦等)期間については、離婚をした場合に当事者の一方が請求すれば、第二号被保険者(民間会社等)の厚生年金の保険料付記録を自動的に2分の1に分割することができます(平成20年3月以前の期間については、自動的には分割されない)。
慰謝料
慰謝料は、離婚すること自体や、相手方の行為によって被った精神的苦痛に対する金銭的な手当てです。慰謝料が認められる事由としては①から④のようなものがありますが、他にも勿論あり得ます。ただし、性格の不一致というだけでは慰謝料は発生しません。
- 相手の不貞行為
- 暴力、犯罪行為
- 婚姻生活の維持に協力しない
- 性交拒否
養育費
父母は、親権の有無に関わらず、子の父母であるという事実により、未成熟子に対する生活保持義務を負います。原則は、子が20歳になるまで養育費を支払うことになりますが、子どもの大学進学率の上昇などの影響で大学卒業の22歳までの支払いとなる例もよくあります。養育費は、その後の事情により金額が変わることがあります。例えば、子ども養育している相手が再婚をした場合などです。
離婚問題の弁護士費用
当事務所に離婚事件をご依頼いただく場合の費用です。
- 離婚調停:30万円(税別)
- 離婚調停から離婚裁判に移行したときの追加費用:15万円(税別)
- 報酬
離婚成立の報酬:30万円(税別)
慰謝料、財産分与:得た利益の10~12%
養育費:5年分の10~12%
*この他に実費(印紙代、切手代等)がかかります。費用についてはご要望があればお見積書を作成致しますので、お気軽にご相談ください。
離婚問題の解決事例
- 夫の暴力が原因で離婚請求。暴力を否定するも裁判で証拠を提出し最終的には暴力を認める前提で離婚成立
- 夫が暴言を吐いて生活費を渡さないので離婚請求。婚姻関係の破綻が認定されて離婚が認められた。
- 夫の不貞が原因で離婚請求。不貞を否定するも調停で証拠を提出し慰謝料を認めさせた。
- 夫が決められた慰謝料を支払わなかったので給料を差押えたら全額が支払われた。
- 妻が家事を行わず夫を過度に束縛するなどしたため、離婚訴訟によって婚姻関係の破綻が認められて離婚が成立した。
- 不貞の相手方に対し慰謝料請求をしたところ争ってきたため、訴訟を起こして慰謝料を支払ってもらった。