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借用書(金銭消費貸借契約書)テンプレート

借用書

なぜ書類を残すのか?

 弁護士であれば、「一筆もらっておいてください」とアドバイスをすることが多々ありますが、なぜ書類に残すのでしょうか。端的には、お金を渡したところも現金であれば目撃者もいないでしょうし、「もらっていない」「知らない」と言われた場合、後日、その証拠を作成することは難しいところです。
 もし裁判をするのであれば、その証拠は不可欠ですし、後日、返還交渉をする場合であっても、証拠があるのと、何も証拠がないのでは交渉力も大きく変わります。

どのような書類を残すのが適切か?

 可能であれば、借用書のひな形でも持参し、それに記載していただくのが理想です。それが難しいのであれば、名前、金額、借りたということ、お金を受け取ったことだけでも自筆で書面化してください。なお、自筆であることは明らかとしたいのですが、押印については、実印で無い限りは、あまり重要なことではありません。

借用書の書式例

借用書

  貸主A(以下、「甲」という。)と借主B(以下、「乙」という。)は、本日、以下のとおり金銭消費貸借を締結した。

1 甲は、乙に対し、金100万円を本日、乙の口座に振り込む方法により(現金を交付する方法により)貸し付けた。
2 本貸金の利息は年○%とする。
3 本貸金の弁済期は平成28年○月○日とし、元利金合計額を、以下に記載の甲の口座に振り込む方法により支払う。

上記の金銭消費貸借契約を証するため、本契約書2通を作成し、各当事者署名押印の上、各1通を保持する。

令和  年  月  日
        貸主(甲)住所
             氏名             印
        借主(乙)住所
             氏名             印

このほか、返済を分割とする場合、分割とする場合、分割金の支払いを遅延した場合の扱い、連帯保証人を定める場合、担保を設定する場合といったことも考えられます。

連帯保証人をつけた借用書(金銭消費貸借契約書)

連帯保証について

 連帯保証人は債務者とほぼ同様の義務を負います。債務者が弁済をしてくれればいいのですが、そうでなければ、連帯保証人が支払いをしなければならないことになります。
 連帯保証人になったために生活が出来なくなるといったことが社会問題となり、平成16年の民法改正では、連帯保証は書面によることを求めていますし、裁判例でも、あまり利害関係の無い第三者の連帯保証の場合には、債務者の返済見込みについて十分な説明がなかったと判断するなど、連帯保証人にあまりにも酷な判断を避ける傾向も見受けられます。また、最近では、金融機関が経営者に対し連帯保証を求める場合にも制限が加えられるようになりつつあります。
 ただ、やはり会社に資金を貸す以上、会社が返済をせずに、社長がいい暮らしをしているのは納得できませんし、社長個人に対し連帯保証を求めたいことも少なくないでしょう。
 逆に、第三者を連帯保証人とするという場合には、十分な説明がなされなければ、裁判で連帯保証人に支払いを求めようとしても、厳しい判断となる可能性もあります。

連帯保証は自筆による署名、実印で押印を

 前項のような問題を避けるためには、連帯保証人には自筆で署名、押印をしていただき、実印での押印、印鑑証明書の添付を求めるべきです。
 通常、実印は他の人に管理をさせません。このため、実印を押印している場合には、押印者が真意で契約したと考えることができます。

連帯保証人をつけた借用書(金銭消費貸借契約書)の書式例

 以下のような書式を参考としてください。なお、利息については記載をしていませんが、利息の定めをすることも可能です。

金銭消費貸借契約書

  貸主A社を甲、借主B社を乙、連帯保証人Cを丙とし、甲乙丙は、本日、次のとおり金銭消費貸借契約を締結した。

1 甲は、乙に対し、本日、以下の約定にて金1000万円を貸付け、乙はこれを受領した。
    弁済期 平成28年3月31日
    利息  無利息
2 乙が期限内に弁済をしない場合には、乙は、支払い済まで未払い金に対し、年14.6%の割合による遅延損害金を付加して弁済する。
3 連帯保証人丙は、借主乙が本契約にて負担する一切の債務について、借主と連帯して履行することを保証する。

以上、本合意成立の証として本書3通を作成し、甲、乙、丙は署名押印の上、各1通所持する。

令和  年  月  日
        貸主(甲)住所
             氏名             印
        借主(乙)住所
             氏名             印
        連帯保証人(丙)住所
             氏名             印

本コラムはリスク法務実務研究会にて当事務所の弁護士小川剛が寄稿している内容を、一部改訂して掲載しております。

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