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金銭消費貸借契約とは
金銭消費貸借契約とは、簡単には、お金を貸す(借りる)契約のことです。
金銭消費貸借契約に記載すべき事項
金銭貸付、交付の事実
金銭消費貸借契約の第1条には、金銭を貸し、実際に渡したことが記載されるのが一般的です。民法では、金銭消費貸借契約は、金銭を貸したことが契約成立の前提とされているので、お金を貸した事実が記載されます。
このため、実際の契約書では、「本日、金30万円を交付し、乙はこれを受領した」あるいは「金30万円を振り込みにより」といった記載がなされます。
利息
金銭消費貸借契約では利息を定めることがあります。法律上は、利息については、何も定めなくとも、商行為(会社を当事者とする貸し借り等)であれば商事法定利率6%とされ、そうでない場合(事業資金等ではない個人間の貸し借り)、無利息となります。
ただ、仮に無利息であっても、後の紛争を避けるために「無利息」と明記すべきですし、利息を付す場合には、「年利5%」といったように明確に利息を記載すべきです。なお、利息については、利息制限法により以下の利率以下でなければなりません。
- 元本が10万円未満の場合 – 年利20%
- 元本が10万円以上100万円未満の場合 – 年利18%
- 元本が100万円以上の場合 - 年利15%
返済日
返済は一括の場合も分割の場合もありえます。さらに「金ができたら返す」といった返済期を定めない合意もあるでしょう。これは一般には「金ができたら」という条件を定めたものではなく、「期限を定めなかった」と理解されることになります。そして、期限を定めなかった場合には、民法は、「当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。借主は、いつでも返還をすることができる。」と定めていますので、借主としては、不意に請求を受ける可能性があります。
また、いわゆる消滅時効についても弁済期がその起算点となる場合もあるので、一括であっても分割払いであっても、弁済期は可能な限り明確に定めることが必要です。
期限の利益
分割払いの場合に、「2回遅滞した場合には期限の利益を喪失する」といった条項が定められることがあります。これは例えば毎月10万円を20回払いと定めた場合に、3回目、4回目を支払わなかった場合には、毎月10万円ずつ請求できるのではなく、期限の利益を喪失すると残金全額の請求ができるという合意です。
期限の利益を喪失させることで一括請求、相殺等ができることになります。その他、期限の利益を喪失する事情としては、借主の破産、手形の不渡りといった事情も考えられます。
次回コラム
今回は金銭消費貸借の基本的な事項を説明しました。貸主にとっても借主にとっても明確な契約書を作成したいものです。次回は金銭消費貸借契約に必須の条項ではありませんが、金銭消費貸借契約で貸主が貸し倒れリスクを軽減する手段としてよく用いられる連帯保証について説明をしたいと思います。
本コラムはリスク法務実務研究会にて当事務所の弁護士小川剛が担当している内容を、一部改訂して掲載しております。
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