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契約書の作成について

 「契約書は作っておいた方ががいいか」と聞かれることがあります。「契約書が無いから契約が成立しない」とお考えの場合もあるようですし、わざわざ契約書を作成する手間を嫌っているだけのこともあるようです。このような場合にアドバイスをするとすれば、「契約書を作成するデメリットは何ですか?」と逆に問い、有利な契約書を作ることをお勧めいたします。

契約書の意義と役割

 契約書を作成するのは、当事者の合意事項を書面に残し、証拠とするためです。

契約書を作成するケース

 スーパーで買い物をするときに、わざわざ売買契約書など作成しません。それでもスーパーと顧客との間で売買契約は成立しています。つまり、「契約書が無い」から「契約は成立していない」ということはありません。では、なぜ契約書を作成するのでしょうか?

 たとえば、不動産のような金額が大きいものを売買するときに契約書が無いということは考えられません。4000万円なのか5000万円なのか、宅地の条件はどうなっているのか、はっきりしないと購入は出来ないはずです。こういう場合には契約書を作成することになり、購入した土地に欠陥があったらどうするのか・どのような責任が発生するのか等、合意内容を契約書に記載するはずです。

契約書の内容は客観的に明確に

 契約書は当事者間の合意を明確にするものです。
 口約束では、当事者間で何が正しいのか全く分からなくなってしまいます。それは第三者にとっても明確な内容である必要があります。

  • 何を合意したのか
  • 互いの当事者の権利・義務は何か
  • トラブルになった場合にはどのように解決がなされるのか

 契約書には、これらが明確に示されていることが最低限必要です。そして合意をする場合には、この「第三者にとっても明確」というところがポイントです。
 もし紛争となれば、裁判所に判断を求めなければならないかもしれません。裁判所にも合意内容をはっきりとわかってもらう必要がありますから、当事者だけが分かるような契約書にはしないことが重要です。

 専門家ではない方が作成される契約書が分かりにくくなるパターンとして、当事者間の複数の契約関係(複数の異なる売買)等が混在して書かれている場合があります。当事者には理解できても、第三者には一読しても理解できないことになります。

契約書を有利に使うには?

 契約書に定めていない項目については、民法・商法といった法律、あるいは慣習により解釈されることになります。逆に、法律が許容する範囲であれば、当事者間で合意を定めることが出来ます。

 有利な合意内容については、特に契約書面とすることが求められることは言うまでもありません。

 紛争となった場合には、契約書を示し「契約書で合意の通りです」と相手方の言い訳を許さず、あっさり解決できるように備える必要があります。せっかく有利な条件で契約しながら、契約書を作成しないということでは、後々「言った。言わない。」の論争になりかねません。このような事態を避けるためにも、しっかりと書面化することが必要です。

契約書の作成

 現在では、書店・インターネットで多数の契約書の雛形を手に入れることができます。多くの契約書例がありますが、これらの契約書を比較してみると、その内容が微妙に異なることに気が付くはずです。また、短い契約書もあれば、長い契約書もあることが分かります。契約書は長いほうがよいのでしょうか?これらは、どのように使えばよいのでしょうか。

 一般的に短い契約書は、どちらに有利ということもなく、最低限の合意を記載したものだと思われます。
 例えば金銭消費貸借契約書(借金の契約書)では、お金を貸したこと、返済期限だけが記載されているかもしれません。

 しかし、実際には分割返済だったり、その分割返済をした場合にはどうなるといった合意をしていることもあります。合意しているのであれば、その場合には、その旨の記載が必要になります。やや細かくなりますが、分割返済の合意だけ記載し、分割返済を怠った場合のことを記載しなかった場合には、貸主の不利益は極めて大きなものとなりかねません。ですから長い契約書には、自らが不利益を受けることがないように、どちらに有利な内容が記載されているのか、よく見極めることが必要です。

 雛形のとおり作成したから安心ということはありません。落とし穴がるかもしれませんから、ご注意ください。このように契約書と一言で言っても簡単な話ではありません。場合によっては、自らを不利にするかもしれません。

本コラムはリスク法務実務研究会にて当事務所の弁護士小川剛が担当している内容を、一部改訂して掲載しております。