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連帯保証契約

連帯保証契約における注意点

 金銭消費貸借等では、連帯保証人も加えた三者契約とされることがあります。

連帯保証とは

 連帯保証人にだけはなってはいけないと言われることもありますが、連帯保証とはどのような契約なのでしょうか。

 連帯保証は債務を保証する契約であり、連帯保証人は、主債務者と同様に債務を負担しなければなりません。債務だけを負う契約となります。

 連帯保証は貸金契約に限らず、賃貸借契約等でも一般的に用いられます。例えば、銀行から事業資金を借りる場合には代表者が連帯保証人になっているでしょうし、アパートを借りる場合にも、連帯保証人は必要とされるはずです。

 債権者としては、債務者が支払えない場合には連帯保証人に請求ができるのですから、債権保全の重要な手段となります。一方で連帯保証人としては、主債務者が支払えない場合にはその全責任を背負わなければなりません。何の利益もないのに、友人に頼まれて印鑑をついたばっかりに、多額の借金を背負う・・といったこともありえます。そこで、冒頭の「保証人にだけはなってはいけない」という話になりますし、このコラムを書いていたところ、ちょうど「<法制審>個人保証原則認めず 中小企業融資で民法改正検討」といったニュースもありました。

 債権者の立場であっても、融資を受ける中小企業の社長の立場であっても、今後の連帯保証に関する議論は注目する必要がありそうです。

連帯保証契約の契約書記載例

 通常、金銭消費貸借契約では、貸主と借主の二者契約です。連帯保証人を加える場合には三者契約となり、契約書の頭の部分は次のような記載となります。
 『貸主○○(以下、「甲」という。)と借主○○(以下、「乙」という。)及び連帯保証人○○(以下、「丙」という。)は、以下のとおり、金銭消費貸借契約及び連帯保証契約を締結する』

 そして、契約書の条項に
 『第○条 丙は、本契約に基づき乙が甲に対して負担する一切の債務について、乙と連帯して履行の責を負う』
 といった記載をし、末尾に連帯保証人も署名・押印をすることになります。

契約書への署名、押印について

 保証契約は民法により書面でしなければなりませんので、連帯保証契約も口頭では無効です。必ず契約書を作成してください。

 また、連帯保証人は債務のみ負うのですから、後々、自分は保証人になったことはない、と主張されるといった紛争も少なくありません。そこで、このような紛争とならないためにも、連帯保証契約を締結する場合には自筆による署名、実印による押印、印鑑証明書をそろえることは不可欠です。

連帯保証契約をするということ

 連帯保証は、債権者にとっても債務者にとっても重要な契約です。

 債権者となる場合には、資力のある人物を保証人とできれば、債権管理リスクは大幅に軽減されます。一方で、連帯保証人になるということは、大きな負債を背負う可能性がありますので、リスクがどの程度の大きさになるのかよく見極め、慎重な対応をすることが必要です。

 賃貸借契約の保証人でも、債務者が明渡しをしなければ、いつまでも賃料負担を迫られますし、原状回復による損害も負担することになるので、想定よりも高額の負担となることもありえます。
 前述の法制審の議論は、債権者にとっての連帯保証制度の必要性と、連帯保証人の負担のバランスをとった議論がなされることが期待されるところです。

本コラムはリスク法務実務研究会にて当事務所の弁護士小川剛が担当している内容を、一部改訂して掲載しております。

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